【8月3日 AFP】家庭雑貨で作られたしゃべるロボットが現在、数千キロに及ぶカナダ横断ヒッチハイクの旅に挑戦中だ。旅の目的は「ロボットは果たして人間を信用できるのか」という問いの答えを出すことにあるという。

 この実験を行っているロボット「ヒッチボット(hitchBot)」の共同製作者であるトロント(Toronto)・ライアソン大学(Ryerson University)のフラウケ・ゼラー(Frauke Zeller)助教はAFPに対し、人間社会は通常「ロボットを信用できるかどうか心配している」と語った。

 ゼラー氏によれば、『ターミネーター(Terminator)』や『マトリックス(The Matrix)』などのハリウッド映画はロボットを人間の敵として描いているが、ヒッチボットはその全く逆の存在。「プロジェクトの目的は、技術やロボットと人間の関係、安全性と信頼に関する考え方についての議論を促すことだ」という。

 ゼラー氏と共同でロボットを開発したマクマスター大学(McMaster University)のデービッド・スミス(David Smith)教授をはじめとする専門家チームは、ヒッチボットが完全に人間に依存する存在になるよう設計した。ゼラー氏によれば、ヒッチボットは「自分で動くことができないため、人の助けがなければヒッチハイクでのカナダ横断は不可能」だ。

 ヒッチボットにはコンピューターが内蔵されており、人と会話したり、簡単な質問に答えたりすることができる。「疲れて」しまった時には、車のシガーライターを使った充電が必要だと伝えることもできる。

 計1000ドル(約10万円)ほどの家庭用品を材料に作られたこのロボットの外見について、カナダの国内メディアは「ヤードセール(庭先で行う不用品販売)の美学」と表現している。

 ヒッチボットは持ち上げて車に乗せてもらわなければならないため、あまり重くならないように設計されている。車の後部座席に収まるように小型にしたが、路上でヒッチハイク中に風に飛ばされないだけの重さや、夜間の気温低下にも耐えられる構造にする必要もあった。