【8月2日 AFP】シンガポール政府は雇用に関する国民の不満に対応するための施策の一環として、企業にシンガポール人(永住権保有者を含む)の優先的な採用を促す新規則を1日から導入した。国民の間では、就業機会が外国人労働者に奪われているとの不満が高まっていた。

 シンガポールに拠点を置く企業が専門技能を持つ労働者の採用を目指す場合、これらの企業にはインターネット上の「人材銀行(Jobs Bank)」に最低14日間、求人広告を掲載することが義務付けられた。外国人の雇用許可証(Employment Pass)を申請できるのは、この期間を過ぎてからとなる。

 政府が運営するこのウェブサイトは、求人が出ている仕事と就職や転職を希望するシンガポール人及び永住権保有者のマッチングを行うもの。求職中の人が求人に応募するためには、この人材銀行にアカウントを作成しなければならない。

 人材銀行は、会計や銀行、エンジニアリング、科学、販売などの分野の職種を扱う。現在は1万6000件ほどの求人情報が掲載されており、うち半数近くを専門職と管理職、幹部ポストが占めている。

 従業員25人以下の企業、月給1万2000シンガポールドル(約99万円)以上の仕事の人材を募集する場合は、新規則の対象外。

 シンガポール政府は出生率の低さを理由に2008年から2012年まで、毎年平均およそ1万8500人に永住権の取得を認めた。この政策により、同国の人口は2004年から昨年までに30%増加し、約540万人に達している。

 同国の総労働力人口約344万人のうち、約38%は非居住者となっている。2013年12月末時点で(管理・専門職向けの)雇用許可証を保有している外国人は、約17万5100人。そのほか77万人が低技能向け労働許可証を取得し、建設業や海洋産業をはじめシンガポール人が敬遠する職種に従事している。また、約21万5000人の外国人女性が家政婦として働いている。(c)AFP