スノーデン元職員、ロシア亡命から1年
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【8月1日 AFP】米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)による大規模な情報収集活動を暴露し、米当局から訴追されたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)元NSA契約職員が、ロシアに亡命してから7月31日で1年となった。スノーデン元職員の私生活は謎に包まれたままで、公の場にもあまり姿を現していない。
スノーデン元職員については、どこに暮らしているかや、なんらかの仕事をしているのかどうかも分かっていない。露メディアが掲載した最後の画像は2013年12月にモスクワ(Moscow)のモスクワ川(Moskva River)の中央に浮かぶボートの上で撮影されたとみられる赤いTシャツにベージュの帽子をかぶった姿の写真だ。
スノーデン元職員の弁護士、アナトリー・クチェレナ(Anatoly Kucherena)氏は7月29日、スノーデン元職員は今も命の危険を感じていると語った。今年1月には、ある米高官からインターネットを通じて殺害の脅迫を受けたという。
スノーデン元職員のロシア滞在期間は7月31日に期限切れとなる。クチェレナ氏は7月初頭、スノーデン元職員がすでに滞在の延長申請を済ませ、手続きの完了を待っているところだと述べていた。露メディアは入国管理局関係者の話として、延長は承認される見通しと伝えている。
■スノーデン元職員の価値
米司法省の元倫理顧問で弁護士のジェスリン・ラダック(Jesselyn Radack)氏は、オーストラリア放送協会(Australian Broadcasting Corporation、ABC)ラジオのインタビューに対し「(スノーデン元職員は)最終的には故郷に帰国するか、または、彼の望む国に亡命したいだろう。ただ現時点では、彼は最も安全な場所にいるし、ロシア側も彼の滞在を認める考えを示唆している」と語った。
アナリストらは、スノーデン元職員がロシアにとって実質的にも政治的にも価値があると考えている。
国防問題の専門家、パベル・フェルゲンハウエル(Pavel Felgenhauer)氏は今週、スノーデン元職員はもはや新情報にアクセスすることはできなくなったものの、今でも米国の情報機関がいかにして運用されているかを説明することができるとし、「NSAがいかに運用されているかのコンサルタントとして(スノーデン元職員は)非常に役立つ」と露独立系紙ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)に語った。
また、政治学者のアレクセイ・マカルキン(Alexei Makarkin)氏は「スノーデン元職員の存在自体がロシアにとって象徴的な価値がある」と述べ、「スノーデン元職員は自由を求める戦いの象徴となった。それがロシアに役立つ」と語った。(c)AFP/Maxime POPOV