エボラ熱、ウイルスの発見者は「大流行の可能性低い」
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【7月31日 AFP】西アフリカで流行しているエボラ出血熱について、そのウイルス発見に貢献した著名医学者ピーター・ピオット(Peter Piot)氏がAFPとのインタビューで、西アフリカ外に拡散し大流行する可能性は低いとの見方を示した。
同時にピオット氏は、「非常に悪い意味」での恐怖心や、西アフリカ諸国における人々の政府に対する不信感が世界でも最大規模のエボラ出血熱感染を招いた要因となったと指摘した。
ベルギー生まれで現在は英国在住のピオット氏は、エボラウイルスの感染者に対し実験的ワクチンの試験を行うよう呼びかけた。そうすればエボラ出血熱の大流行がおこったとき、世界は備えができているからだ。
世界保健機関(World Health Organization、WHO)によると今年の3月以降、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネでは1201人がエボラ出血熱と診断され、672人が死亡している。
国際医療支援団体「国境なき医師団(Doctors Without Borders、MSF)は事態はさらに悪化の様相を呈しているが、危機的状況に対処する方法は見つかっていないと警告している。
ピオット氏は27歳だった1976年、ザイール(現コンゴ民主共和国)でエボラウイルスを発見したチームに参加していた。国連合同エイズ計画(UNAIDS)では事務局長を務め、現在は英ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine、LSHTM)の学長を務めている。
30日にAFPのインタビューに応じたピオット氏は、もしエボラウイルスの感染者が航空機で欧州か米国、もしくはアフリカの別の地域に移動したとしても、「これがエボラ出血熱の大流行につながるとは思わない」と語った。
さらにピオット氏は、英国内で感染者が拡大したとしても「私は、それほど恐れない」と述べ、「地下鉄でエボラウイルス感染者の隣りに座っても心配はしない」と語った。ただし、その感染者の嘔吐(おうと)物が自分にかかった場合は別だという。感染につながる密な接触となるからだ。(c)AFP/by Katherine HADDON, Tom LARKIN