【7月30日 AFP】カナダ政府は29日、政府の研究開発機関のコンピューターが中国当局からのハッキングを受けたと発表した。一方の中国政府は「事実無根」と否定している。

 カナダ政府によると、中国は新技術開発のため毎年カナダの企業数千社と提携を結んでいるが、その機会を利用してサイバー攻撃を仕掛けたという。

 カナダ政府は声明で「カナダ政府は最近、カナダ国立研究評議会(National Research Council of CanadaNRC)のITインフラに対し、中国政府の援助による高度に洗練されたサイバー侵入行為が行われたことを、カナダ通信安全保障機構(Communications Security Establishment)の活動を通じて察知し、確認した」と発表。

 NRCは航空宇宙、天体物理学、エネルギーと資源採掘、保健と医療、船舶工学、セキュリティー関連の技術や破壊的技術を研究している。カナダ政府は、中国によるサイバー侵入行為の性質については明らかにしていない。

 カナダ政府はまた、NRCのコンピューターをカナダ政府のネットワーク全体から隔離する「予防措置」を取ったと発表。また、同種の侵入行為を阻止するためのセキュリティー対策を開発導入中だが、運用開始までには最長で1年かかる見通しという。

 中国・北京(Beijing)を訪問中のジョン・ベアード(John Baird)・カナダ外相は、中国側に抗議の意を伝えた。

 一方、在カナダ中国大使館はカナダ政府の主張を否定。「中国政府がサイバー侵入行為やサイバー攻撃に関与したという事実無根の嫌疑を容認することはできない」との声明を出した。(c)AFP