【7月30日 AFP】リビアの首都トリポリ(Tripoli)の空港に近い燃料貯蔵施設で今月27日にロケット弾の直撃を受けて発生した大規模な火災は、発生から3日目となった29日も激しく燃え続けた。

 リビア政府は国際社会に支援を要請しているが、イタリアとギリシャは戦闘の停止が支援実施の条件だとしている。またリビア当局は、燃料貯蔵施設の消火のためイタリア政府が航空機7機を派遣する準備を整えたと発表したが、イタリア政府はこれを否定した。

 トリポリでは、戦闘による従業員の安全への不安からガソリンスタンドが店を開けていないため、ガソリンが不足している。

 リビア第2の都市ベンガジ(Benghazi)では同日、イスラム過激派との戦闘が続く中、戦闘機が墜落した。パイロットは脱出して無事だった。撃墜されたのか、技術的トラブルによる事故だったのかは分かっていないが、ある目撃者は戦闘機はイスラム武装集団の拠点を攻撃した直後に墜落し、機体が地面に落ちる前にパラシュートが開くのを見たと語った。

 さらに、リビアの元副首相で新たに国会議員に選出されたムスタファ・アブシャグル(Mustafa Abu Shagur)氏がトリポリの自宅から武装集団によって誘拐されたと、アブシャグル氏の家族が発表した。2011年に反体制派が長く同国を支配した独裁者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)政権を転覆させる際に蜂起した民兵組織を、当局が抑えられずにいる実態が改めて露呈した。

 リビアの無法化・不安定化が進む中、フランス、ポルトガル、オランダ、カナダ、ブルガリアがリビア在住の自国民に国外退去を勧告したり、在トリポリ大使館を閉鎖したりした。これに先立つ先週末には、英国とドイツ、エジプトが自国民に即時の国外退避を勧告した他、米国も政権派の部隊とイスラム過激派との戦闘による危険が迫っているとして、在トリポリ米大使館から全要員を避難させた。

 外国人労働者の国外退去で、リビアはさらに打撃を受ける可能性もある。フィリピンが、医師などの医療従事者3000人を含む自国民の国外退去を勧告したことを受け、リビア保健省は医療スタッフ不足が発生する恐れがあると警告している。(c)AFP/Imed LAMLOUM