パキスタン少年、エンジンに押し込められ両腕失う
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【7月28日 AFP】パキスタン北部で、10歳の少年に両腕を失う重傷を負わせたとして、地元有力者である地主の息子が逮捕された。少年の家族は、地元当局が真実の隠蔽(いんぺい)を図っていると主張し、公正な裁きを要求している。
警察関係者がAFPに語ったところによると、タバスム・シャハザド(Tabassum Shahzad)君(10)は21日、北部ラホール(Lahore)の北方170キロ余りに位置する村の井戸で水遊びをしていたところ、地主の息子であるグラム・ムスタファ(Ghulam Mustafa)容疑者(22)に身体を押さえつけられ、運転中の水ポンプのエンジンに両腕を押し込められて重傷を負った。タバスム君とムスタファ容疑者は家族の農地が隣同士で、電力変圧器の交換費用を誰が負担するかをめぐって対立していたという。
タバスム君の両親は、地主の一族が政治力を悪用して捜査や治療を妨害していると非難。また香港(Hong Kong)の人権団体「アジア人権委員会(Asian Human Rights Commission)」も、有力者がいかに法律を「都合良く操作」できるかを浮き彫りにした事例との見解を示し、パキスタン政府にタバスム君への治療と義肢の提供を促した。
この事件の残酷さは多くの人々に衝撃を与えた。パンジャブ(Punjab)州のシャバズ・シャリフ(Shahbaz Sharif)知事は、同州政府がタバスム君の治療費を負担する方針を示すとともに、家族に100万ルピー(約100万円)の見舞金を支払う考えを明らかにした。
ムスタファ容疑者は現在、警察に拘束されており、来月4日に裁判所に出廷する。(c)AFP