ティラノサウルスは群れで行動か、新たな足跡化石が示唆
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【7月25日 AFP】肉食恐竜ティラノサウルス(Tyrannosaurs)が群れで狩りをしていた可能性を示す3匹分の足跡の化石を発見したとの研究論文が、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された。
これまでに米国、カナダ、モンゴルなどで発見されているティラノサウルスの足跡化石は、全て単独の個体のものだった。複数の個体の足跡が互いに近接して発見されたのは今回が初めてで、これはティラノサウルスが単独ではなく、群れで生活していたことを示す唯一の明らかな証拠だという。
今回の発掘を率いたカナダ・ピース地域古生物調査センター(Peace Region Palaeontology Research Centre)のリチャード・マクリー(Richard McCrea)氏は24日、AFPの取材に「ティラノサウルスが群れで行動していたことを示す化石証拠としては最も有力なものだ」と語った。「3匹のティラノサウルスが全て同じ方向に向けて一緒に移動していたことを示している」
マクリー氏の研究チームが発表した論文によると、カナダ西部ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州タンブラーリッジ(Tumbler Ridge)の近くにある岩壁に並行して続いている足跡は、この3匹が群れをなして歩き「幅8.5メートルの進路内を南東の方向に進んでいた」ことを示しているという。
研究チームは、これらの足跡が「同一方向に並行して歩いている」動物が残したものである証拠として、「深さと保存状態が類似している」点を挙げている。
強力な顎とかぎ爪のような小さな前肢を持つこの大型二足歩行肉食恐竜の3本指の足跡は、2011年に地元の狩猟ガイドが7000万年前の柔らかい泥地だったと思われる場所で発見した。
現在も続けられている発掘作業では、これまでに全部で7つの足跡が発見されている。足跡は火山灰に覆われて保存されていたが、長い年月を経て岩壁の浸食作用によって露出したと考えられている。
足跡の大きさは50センチほどで、体の大きさがそれぞれ異なる成獣のものだ。これらは、ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)が登場する以前の時代のものだが、T・レックスの祖先とされるアルバートサウルス(Albertosaurus)やダスプレトサウルス(Daspletosaurus)はかつて、ロッキー山脈(Rocky Mountains)東部の丘陵地帯を歩き回っていた。