MH17墜落、「親露派が誤射」の可能性大 米高官
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【7月23日 AFP】ウクライナ東部で墜落したマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便について、米情報機関の高官は22日、十分な訓練を受けていない親ロシア派の武装勢力による誤射が原因だった可能性が高いとの見方を示した。
匿名を条件に取材に応じたこの高官は、これまでに収集された証拠は親露派がSA11地対空ミサイルを発射したということを示しているとする一方で、その理由と「誰が引き金を引いたのか」はまだはっきりしていないと説明。その上で、「最も妥当な説明は…誤射だったということだ」と述べた。さらに、一定の訓練や技能が必要なシステムを採用しているミサイルが、「適切な訓練を受けていない」者によって発射されたとの考えを示した。
米政府は、自国の衛星やその他の「技術的な」情報活動により、乗客乗員298人を乗せたMH17便が親ロシア派支配地域から発射されたSA11地対空ミサイルに撃墜されたことが確認されたと発表している。これについて高官は「ロシアの支援によって作り出された状況の下で、ウクライナ東部から発射されたSA11であることは確かだ」と語った。
米当局者らによると、ミサイルを発射した者たちは、発射台に組み込まれたレーダー1基のみに頼り、航空交通の全体像を把握することが可能な大規模なレーダーネットワークは使用していなかったとみられる。
また、米情報機関の別の高官は、SA11は「統合防空システム」用に設計されたものだが、幅の狭い単一のレーダービームしか採用していないため、発射装置は「相当に不明瞭な画像」しか示せないと説明している。
一方、ウクライナ東部ではロシアの工作員が活動していたことが確認されているが、米情報機関は、工作員らがSA11を発射した部隊に関与していたことを示す明確な証拠はつかんでいないと、当局者らは述べている。さらに米国は防空システム関連をはじめ、ロシアからウクライナへの重火器の流れを監視してきたものの、情報機関はMH17便の墜落以前に大型のSA11がウクライナに持ち込まれたことを確認していないという。
米当局者らによると、ロシア軍は武装勢力のメンバーらに対してこれまで、露ロストフ(Rostov)の大規模な基地で防空システムを含むさまざまな武器に関しての訓練を行ってきたが、SA11の発射装置に関する訓練を行っていたか否かははっきりしていない。(c)AFP/Dan De Luce