ベトナム訪れる中国人観光客が激減、南シナ海めぐる緊張で
このニュースをシェア
【7月22日 AFP】ベトナムの観光ガイド、グエン・フー・ソンさんは長年、中国人観光客を相手に沿岸リゾート地ダナン(Danang)を案内する仕事をしてきた。だが、南シナ海(South China Sea)をめぐるベトナムと中国の関係の悪化で、ソンさんには現在、観光ガイドの仕事がない。
5月初旬、中国が南シナ海で海底油田の掘削を強行したことを機に、ベトナムと中国の関係は過去数十年で最悪に落ち込み、ベトナム国内では反中暴動が勃発した。
中国の油田掘削は終了したが、中国人観光客はベトナムに戻ってきていない。
「状況は、かつてないほど悪い。私の旅行会社も客はほとんどいないし、仕事もない」
ソンさんの給料は3分の2削減されたが、むしろソンさんは会社に対して申し訳なく感じている。会社がほとんど利益をあげていないと知っているからだ。「私の会社は団体でなく個人客が中心だが、100%がキャンセルだ。今はまったく手持ちぶさただ」と話すソンさんは、転職を考えているという。
公式統計によれば、6月にベトナムを訪れた中国人観光客は前月から29.5%も減った。
社会主義国家のベトナムにとって観光は重要な収入源で、最も多くを占める観光客が中国人だった。5月に観光客数が落ち込むまで、今年に入ってから計110万人以上の中国人がベトナムを訪れていた。(c)AFP/Cat Barton