【7月21日 AFP】ウクライナ東部上空で親ロシア派武装勢力に撃墜されたとみられるマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便の墜落現場では20日、同武装勢力が約200人の遺体を保冷貨車に積み込み移動させた。

 同事件について米国は、責任はロシアにあると非難しており、国際調査団に現場での全権限を与えるよう要求している。一方の親ロシア派武装勢力は、ブラックボックスと思われる物体を持っているとしており、「国際調査団が到着すれば」必ず引き渡すと約束している。

 ドネツク人民共和国首相を自称するアレクサンダー・ボロダイ(Alexander Borodai)氏は、遺体を保冷貨車に入れて保持するのは「専門家が来る」までであり、「遺族を尊重して」数十人の遺体を移動させたと説明。また「高い気温と周辺一帯には犬や野生動物が多いことから、(移動を)これ以上待てなかった」と述べている

 欧州安保協力機構(OSCE)のマイケル・ボーセキュー(Michael Bociurkiw)報道官は、分離派武装勢力が陰惨な遺体貨物を見張っているトレーズ(Torez)駅の悪臭は「ほとんど耐えられない」ものだと形容した。

 グラボベ(Grabove)村に墜落した同機の残骸は周囲数キロに散らばっており、また墜落した機体の破片が積み上げられたトウモロコシ畑の中では、放置されたままとなっていた遺体の腐敗が進んでいた。遺体には、手足が切断され黒焦げになったものもある。

 ウクライナのVoldoymyr Groysman副首相によると、20日には、救助隊員が新たに27人の遺体と20の身体部分を発見、また外科手術用マスクを着けた緊急作業員が黒い遺体袋を運ぶ様子も見られたという。(c)AFP/Stephane ORJOLLET with Hui Min NEO in Kiev