【7月18日 AFP】シンガポール当局は18日、同性愛を題材にしたことを理由に国立図書館が破棄処分を決定した児童書3作品のうち2作品について、処分の差し止めを命じた。規制の厳しい同国の国立図書館が下した今回の決定については、出版物に対する検閲だとして非難が巻き起こっていた。

 問題とされた児童書3作品のうち、ニューヨークの動物園で赤ちゃんペンギンを育てる2羽の雄ペンギンの実話を描いた「And Tango Makes Three」(邦題:タンタンタンゴはパパふたり)と、同性愛カップルやシングルペアレントに引き取られた子どもたちを描いた「The White Swan Express」の2作品について、同国のヤーコブ・イブラヒム(Yaacob Ibrahim)情報通信相は、児童書コーナーから一般コーナーに移動するよう命じた。一般コーナーで親が子どものためにこの2作品を借りることは問題ないとされた。

 一方、残る1作品で、同性愛カップルを含め様々な家族の形態を描いた児童書「Who's In My Family」は、国立図書館委員会(National Library Board)によってすでに破棄された。

 ヤーコブ情報通信相は、交流サイト(SNS)フェイスブック(Facebook)の自らのページで「今回の3作品を児童書コーナーから撤去するとした国立図書館委員会の決定を支持する」としたうえで「児童書コーナーの蔵書が年齢的に適したものであるよう、引き続き注視していく」と語った。

 シンガポール当局はまた、米国の長寿コミックシリーズ「ライフ・ウィズ・アーチー(Life with Archie)」のうち男性同士の結婚が描かれている巻を「社会規範」に反するとして最近、発禁処分にしている。

 シンガポール政府は、シンガポール国民の大半は保守的で同性愛を受け入れていないと主張している。(c)AFP