【7月17日 AFP】オランダの裁判所は16日、第2次世界大戦(World War II)以来に欧州で起きた最悪の虐殺事件「スレブレニツァ(Srebrenica)の虐殺」で殺害されたイスラム教徒の男性や少年のうち、300人以上の死についてオランダ国家の責任を認める判決を下した。

 1995年に起きた同事件では、ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦終結のわずか数か月前に、セルビア人武装勢力により8000人もが殺害された。オランダ政府は、同国の国連(UN)平和維持部隊が犠牲者らの保護を怠ったとして、遺族らから訴えられていた。

 イスラム教徒が暮らす小さな飛び地となっていたスレブレニツァは当時、ラトコ・ムラディッチ(Ratko Mladic)被告率いるセルビア人武装勢力によって制圧された。同被告は現在、スレブレニツァを含むボスニア紛争でのジェノサイド(大量虐殺)と戦争犯罪の罪で裁判にかけられている。

 スレブレニツァ近郊ポトチャリ(Potocari)の国連施設には、周辺に住む何千人ものイスラム教徒たちが避難していたが、セルビア人勢力はこの「避難所」を守る軽装備のオランダ部隊を無視し、男性らを施設から追放。その後の数日間で、イスラム教との男性や少年8000人近くが殺害された。

 オランダの裁判所は今回の判決で、この時オランダ部隊が男性らの追放を防いでいれば、これら男性は虐殺をまぬがれただろうと指摘。追放された男性たちの死の責任は、オランダ国家にあるとの判断を下した。

 一方の遺族らの中からは、この判決でオランダ政府に責任があるのは国連施設から追い出された人たちの虐殺のみとされ、その他の人々については責任認定がされなかったことに反発する声も上がっている。(c)AFP/Nicolas DELAUNAY