ダイヤモンドの超高圧圧縮実験、巨大惑星の謎解明に光 米研究
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【7月17日 AFP】米国の物理学者チームが、ダイヤモンドを鉛よりも高密度に圧縮することに成功したとする研究論文が、16日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。巨大惑星の謎に迫る知見をもたらす技術的偉業だという。
地球上で最も硬度と強度が高い種類の炭素であるダイヤモンドは、知られている物質の中で最も圧縮が困難とされている。
米ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)などの物理学者チームが行った今回の実験では、合成ダイヤモンドのサンプルに176本のレーザー光線を一斉に照射し、圧力波を発生させてサンプルを通常の密度の4倍近くにまで徐々に圧縮した。
20ナノ秒間(1ナノ秒は10億分の1秒)の照射で、ダイヤモンドは5テラパスカル(1テラパスカルは10の12乗パスカル)の圧力にさらされる。これは、地球表面の大気圧の5000万倍、地球の核の圧力の14倍に相当する。
実験では、同研究所にある2メガジュール(1メガジュールは10の6乗ジュール)のレーザー出力を有する世界最大のレーザー核融合施設「国立点火施設(National Ignition Facility、NIF)」を使用した。
核融合の実験を行う目的で設計されたNIFは、直径10メートルの球の中心に設置された大きさ1ミリの標的に焦点を合わせてレーザーを照射することが可能だ。
土星の中心核に匹敵する高圧状態の再現を可能にした実験の成果は、天体物理学者らが恒星や巨大惑星の形成過程に関する推論を検討し直す際の助けになるはずだ。恒星や巨大惑星は、原子を圧縮・融合させる強力な重力圧によって形成される。
太陽系外惑星はこれまで1000個以上見つかっているが、その多くは太陽系最大の惑星である木星よりもはるかに大型の惑星だ。(c)AFP