【7月16日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)優勝に国中が沸き上がったドイツ──関連グッズやビール、ソーセージの売り上げは伸びたものの、決勝戦翌日の国内の株式市場ではその影響はほとんどみられなかった。

 欧州最大の経済規模を誇るドイツはその強い国内需要に支えられ、経済は既に良好な状態にある。そのためW杯優勝による長期の経済効果は限定的とみられている。

 国旗が飾られた14日のフランクフルト証券取引所(Frankfurt stock exchange)では、ドイツ代表ユニホームを着たトレーダーたちが取引の合間に試合のハイライト映像に見入っていた。

 ドイツが優勝を果たした後は、各都市では夜通しのお祭り騒ぎが繰り広げられた。しかし国中の興奮とは裏腹に、優勝から一夜明けた14日のフランクフルト株式市場では、取引序盤の株価に目立った動きはほぼ見られず、ドイツ株式主要30銘柄指数(DAX)が大きく動き始めたのは、ニューヨーク(New York)での取引開始後。材料となったのは米金融大手シティグループ(Citigroup)の好決算だった。

 独バーダー・バンク(Baader Bank)のアナリスト、ロバート・ハルファー(Robert Halver)氏は「優勝が株式市場に大きな影響を及ぼすことを期待してはいけない。投資家は今も地政学的リスクや金融危機を注視している」と指摘。さらに独デカ銀行(DekaBank)のホルガー・バール(Holger Bahr)氏もAFPの取材に、「ファンにとっては大きな出来事だが、経済効果は極めて限定的だ」と述べ、「経済が好調なだけに、なおさら効果は限られる」と続けた。

 06年のW杯では、ドイツは開催国で準決勝まで進んだ。この時の経済状況は今とは異なっており、経済効果も今回を上回っていた。

 独ベレンベルク(Berenberg)銀行のエコノミスト、クリスティアン・シュルツ(Christian Schulz)氏は「消費者信頼感指数は極めて高い水準にある。また今後、ドイツが長期にわたって極めて良好な成長が続く」との見方が多く示されていることを説明した。

 ドイツ政府は14日、経済成長率の見通しについて上方修正しない方針を発表した。そんな中、W杯の波にしっかりと乗っている企業がある。独スポーツ用品大手のアディダス(Adidas)だ。アディダスは、決勝を戦ったドイツ代表チームとアルゼンチン代表チームのスポンサーで、両チームにユニホームを提供した。同社はこれまでに、独代表チームのレプリカユニホームを200万着以上売り上げているという。

 このほか、ドイツ国内のスーパーマーケットやバー、レストランでは、ビールや食品関連の売り上げが急増。宅配ピザの「Joey's Pizza」は、W杯期間中は売り上げが20%増加し、決勝戦の夜は2倍に膨らんだという。(c)AFP/Benoit TOUSSAINT, Marie JULIEN