【7月16日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)の地下鉄で15日朝のラッシュアワーに起きた脱線事故は、これまでに21人の死亡が確認され、同市地下鉄史上最悪の事故となっている。

 ブラジルを訪問中のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、事故の犯罪捜査を命じた。捜査委員会(Investigative Committee)は事故原因について、客車の機械的な欠陥や電気系統の故障といった可能性を調べていると発表。一方で、テロの可能性を否定している。

 同国のテレビ局によると、時速70キロで走行していた電車に急ブレーキがかかり、客車3両が脱線し大破。乗客はドミノ倒しのように車内で倒れた。市保健局トップによると、これまでに約130人がけがをして入院し、うち42人は集中治療室で治療を受けている。死者のうち少なくとも2人が外国人で、それぞれタジク人と中国人だという。

 当局によると、現場からは1000人以上の人が救出された。乗客らの話によると、事故発生から短時間で客車内に煙が充満し、人々は救助隊から酸素を与えられた。

 インフラ専門家のアレクセイ・ハズビエフ(Alexei Khazbiyev)氏は今回の事故について、テロ事件を除くとモスクワ市地下鉄史上最悪の人災だとAFPに語った。同市地下鉄では2010年に起きた連続自爆攻撃によって約40人が死亡している。

 旧ソ連のヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)政権下の1935年に開業したモスクワ市地下鉄は現在、1日当たり900万人の利用者により過剰に混雑しており、事故を受け緊急の改善を求める声が上がっている。(c)AFP/Anna MALPAS, Maria ANTONOVA