【7月16日 AFP】中国で発掘された、羽根のある翼のような付属肢を4本持つ奇妙な恐竜の化石が、鳥類の起源に関する新たな手掛かりをもたらす可能性があるとの研究論文が、15日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 中国・遼寧(Liaoning)省にある発掘現場から見つかったこの驚くほど保存状態が良い化石は、約1億2500万年前に生息していた小型のスリムなシチメンチョウほどの大きさの肉食動物「チャンギュラプトル・ヤンギ(Changyuraptor yangi)」のものだ。

 この恐竜は、くちばしの先から尾の先端までが1.3メートル。非常に長い尾を含め、体全体は見事な羽毛で覆われていたと思われる。

 米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)の自然史博物館(Natural History Museum)のルイス・チアップ(Luis Chiappe)氏は「チャンギュラプトルの長さ30センチの驚くべき尾羽は、羽毛を持つ恐竜の中で群を抜いて長い」と語る。

 見つかった化石は成体のものとみられ、体重は4.5キロ程と想定された。これまでに発見されたいわゆる「四翼」恐竜としては最大となる。

「ミクロラプトル(Microraptor)」類として知られるこの種の恐竜は、腕と脚すべてに長い羽毛を持っていたが、どの程度うまく空を飛べていたかについては大きな論議となっている。

 ただチャンギュラプトルについては、ある程度の飛行や滑空ができたことが今回の発見では示唆された。非常に長い尾羽で空力制御と安全な着陸が行えた可能性がある。

 もしその考え方が正しければ、鳥類は羽毛が生えた小型の獣脚恐竜もしくは二脚恐竜から進化したとする説は見直しが必要になる。

 チアップ氏は、プレスリリースの中で「恐竜の飛行は、非常に小さな獣類だけに限られるものではなく、体長がさらに大きい恐竜でも可能だったことを、新たに発見の化石は示している」と述べる。

「恐竜の飛行の複雑な意味合いを理解するには、さらに数多くの証拠が必要になるが、チャンギュラプトルが正しい方向への大きな飛躍であることは明白だ」