伊座礁船コスタ・コンコルディア、浮上えい航計画
このニュースをシェア
【7月14日 AFP】イタリア中部ジリオ(Giglio)島沖で14日、2012年に座礁した大型客船コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号(全長290メートル、重さ11万4500トン)を浮上させる大がかりな作業が始まった。浮上後、船体は北部ジェノバ(Genoa)の港までえい航され、解体される。
コスタ・コンコルディア号はイタリア史上最大の客船。12年1月13日夜に起きた座礁・沈没事故では、乗員乗客4229人の多くが海に飛び込み、32人が犠牲となった。
浮上計画は以下の通り。
■座礁船
コスタ・コンコルディア号は横倒しになって沈没したが、昨年9月に引き起こし作業が行われた。
現在は、深さ31メートルに設置された特製の鋼鉄製プラットホーム6基に載せられている。それぞれのプラットホームは、厚さ1メートルの柱21本を海底9メートルの深さまで埋め込み支えられている。
■タンク
座礁船には30基の巨大な鋼鉄製タンクが接合されている。タンク内の水を抜いて圧縮空気を注入し、ジェノバの解体施設までえい航する間、同船を浮上させ安定させる「浮き」とする。
座礁船を浮上させる際には、船を左舷と船尾に緩やかに傾けて船内の水を排出する。
■ケーブル
タンクは、座礁船の底部に巻き付けられた鋼鉄製ケーブル36本と鎖56本で接合されている。各ケーブルの長さは58メートル、鎖の重さは輪1つが205キロ。
■えい航
ジェノバに向けて出航する前に、えい航船4隻(左舷に2隻、船尾に2隻)で座礁船の位置を調整する。
座礁船は船舶10隻を伴いコルシカ海峡(Corsica Channel)を北上する。伴走する10隻には、長さ800メートルのオイルフェンスや夜間の油検出用赤外線センサーなど、座礁船から有害物質が流出した場合の緊急対応設備が搭載されている。
■作業規模
浮上作業には26か国500人が参加。ダイバーはうち120人。
これまでに使用された鋼鉄の量は3万トン以上に上っている。これは仏パリ(Paris)のエッフェル塔4つ分に相当する。
■費用
コスタ・コンコルディア号を運航していた客船運航会社コスタ・クロシエレ(Costa Crociere)によれば、浮上作業にかかる費用の総額は推定10億ユーロ(約1400億円)。
座礁船の解体費用として、追加で1億ユーロ(約140億円)の予算が計上されている。(c)AFP