【7月14日 AFP】執筆した回顧録が大失敗に終わり、お金に関する鈍感な発言が米国民を怒らせ、そして今度は夫のセックスライフを描いたミュージカルがニューヨーク(New York)で上演される──どうやら前米国務長官で元大統領夫人のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏でいるのもそう楽ではなさそうだ。

 ミュージカルは、在任期間中のビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領の高尚な理想と下劣なスキャンダルを描いた2幕、2時間の喜劇で、18日にニューヨークプレミアが行われる。

 人間的な欠点はあるが、歴代最高の大統領のひとりとして慕われるビル・クリントン氏。劇中では、最高にスマートな国家指導者のビルと、セックススキャンダルにまみれた別のビルを2人の役者が演じる。

「クリントン・ザ・ミュージカル(Clinton: the Musical)」は、ニューヨークで開催されるミュージック・シアター・フェスティバルで上演される。すでに英国のロンドン(London)とエディンバラ(Edinburgh)で上演され、2012年のベスト・ニュー・ミュージカルにノミネートされた。

 18日のニューヨーク公演は、2016年大統領選へのヒラリー氏出馬をめぐり米政界が揺れるなかでの絶妙なタイミングで行われる。これは、脚本と作曲を手掛けたオーストラリア人の博士課程の学生、ポール・ホッジ(Paul Hodge)さんのビジョンによるところが大きい。

 ホッジさんは、カップルとして、そして個々人としてのクリントン夫妻に興味を持ったと語り、懐かしげに90年代を振り返った。

「ビル・クリントンはものすごく大きな力を持っている。同時に欠点もある。それが人々に愛されるゆえんだと思う」

「すべてのミュージカルにはラブストーリーが必要だ。その意味でこの作品には新しいダイナミックがある。2人のビルの間のラブストーリーと、ヒラリーとの関係だ」

 ロンドンを拠点に活動するホッジさんは、ニューヨークに数週間滞在して脚本を書き直し、さらなるひねりを加えた。また音楽や歌詞、ジョークも完璧に仕上げたとしており、ニューヨーク公演での21曲中、英国公演と同じ曲は2曲のみとなっているという。

「クリントン・ザ・ミュージカル」は、「The Alice Griffin Jewel Box Theatre」で、18日から26日まで上演される。チケットは25ドル(約2500円)。(c)AFP/Jennie MATTHEW