豪州南部の乾燥化、炭酸ガス排出が起因 米NOAA
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【7月14日 AFP】温室効果ガスとオゾン層の破壊によりオーストラリア南部での乾燥化が進んでいるとの研究論文が、13日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。
米海洋大気局(US National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)の研究チームによると、豪州南部では1970年頃に始まった降雨量の減少は過去40年間にわたり続いているという。
研究チームは論文で、同地域の大部分では、この減少傾向が今後も数十年にわたって続く可能性が高いとしている。
「乾燥化は豪州南西部全域が最も顕著で、南半球の秋季・冬季の降水量が21世紀末までに合計約40%減少する」
研究チームは、最新の高解像コンピューターモデルに降雨量のデータを入力し、地球規模での気候システムに対する自然的・人為的な影響のシミュレーションを行った。
その結果、降雨量の減少をめぐっては、地球温暖化を促進する炭酸ガスの排出量と、現在は使用が禁止されているクロロフルオロカーボン(CFC)類の化学物質によるオゾン層の薄層化との間に相関関係が認められた。
また火山の噴火と太陽のエネルギーレベルの変動は、過去数十年間に観測された乾燥化の理由を説明できるほど影響の強いものではなかったことも分かっているという。
豪州の一部は近年、壊滅的な干ばつと熱波に見舞われてきた。
世界気象機関(World Meteorological Organisation、WMO)は3月、2013年の記録的な高気温は、温暖化ガスの人為的な排出なしでは「実質的に起こり得なかったはず」と指摘していた。
豪非営利シンクタンク「クライメート・カウンシル(Climate Council)」によると、2013年~2014年の夏季は、南西部パース(Perth)と南部アデレード(Adelaide)ではうだるような気温だった一方で、南東部シドニー(Sydney)はこの27年間で最も乾燥した夏を経験したという。(c)AFP