【7月13日 Relaxnews】音楽に合わせて他の人たちと一緒に体を揺らすことは、赤ちゃんにとって思いやりを学ぶために効果的かもしれない。カナダ・オンタリオ(Ontario)州にあるマクマスター大学(McMaster University)の研究チームは、こうした研究論文を「Developmental Science」の最新号に掲載した。

 ダンスからボート漕ぎに至るまで、人と人とが一緒に動く活動には、絆や連帯感を強める効果があることはすでに立証されているが、赤ちゃんに対する効果を研究したのは、同大学が初めてとみられる。

 論文の主著者で同大博士課程のローラ・チレリ(Laura Cirelli)氏は、「周りの人々に合わせて動くことは、音楽活動において重要な部分だ」とし、「音楽の基本的部分を形成する動きが、非常に低年齢のうちから社会的行動に影響を与えていることが示された」と述べた。

 研究チームは、2人1組となり、68人の赤ちゃんを対象に実験を行った。

 音楽が鳴り始めると、各組の1人は赤ちゃんを抱きかかえて一緒に体を上下に揺らし、もう一人は赤ちゃんと向き合って体を揺らした。このときにテスト対象のグループの赤ちゃんを抱いた人物は向かい合った研究者と同じリズムで体を上下に揺らし、もう一つのグループは向かい合った研究者とは異なるリズムで体を揺らした。

 音楽が止むと、テスト対象の赤ちゃんたちには、子供の利他的行為に関する実験で一般的に使用されるテストを行った。テストでは、赤ちゃんと向かい合わせになっていた研究者がわざと物を落とし、赤ちゃんがそれを拾って助けてくれようとするかどうかを調べた。

 その結果、研究者と同時に体を動かした赤ちゃんは、異なるリズムで動いた赤ちゃんに比べて相手を助ける可能性が約20%高かった。

 チレリ氏は、今回の発見について、より協調性のある社会的風土の建設に大きく貢献するものだとし、音楽に合わせて歌い、手を叩き、踊ることは、発育過程の学習において不可欠な部分だろうとしている。

 同氏は現在、この研究をさらに前進させるため、体を動かすことで赤ちゃんが得た思いやりの心が、他人に対しても向けられるか、あるいは一緒に体を動かした相手に対してのみかを調べるプロジェクトを開始している。(c)Relaxnews/AFPBB News