中国・人民元、国際金融市場で存在感増す
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【7月13日 AFP】中国の人民元が、国際金融の舞台で勢力を伸ばしている。世界の主要金融機関が加盟する国際金融協会(Institute of International Finance、IIF)が10日に発表した調査報告書によると、元建て決済は過去1年で2倍以上に増えた。
国際金融取引における人民元建て決済の利用は、ドルやユーロに比べれば依然としてごく少ないが、総取引の1.4%を占めるまでに拡大している。IIFによれば、人民元の急成長ぶりは香港ドルやシンガポールドルを上回り、世界で6番目に決済利用の多いスイスフランさえも抜いたという。
米ドルが圧倒的に強い国際貿易決済でも、人民元建て決済の比率は2013年、全体の8%を占めてユーロ建てや円建てを抜き2位に躍り出た。
さらに人民元は、中国政府のいまだ厳しい規制にもかかわらず、外国為替市場の1日平均取引高で世界9位の通貨となっている。2010年に340億ドル(約3兆4400億円)だった人民元の1日の取引高は、2013年には1200億ドル(約12兆1500億円)に達した。
IIFの報告書はこうした傾向の背景として、中国政府が人民元の国際取引に対する規制を徐々に緩和している点を指摘する。
人民元決済銀行は現在、世界5市場にある。香港(Hong Kong)、マカオ(Macau)、台湾、シンガポールに加え、今年から世界有数の市場であるロンドン(London)にも人民元決済銀行が指定されたのだ。
人民元建て債券、いわゆるディムサム・ボンド(点心債)は7年前に中国政府が香港で初めて発行を許可して以来、急成長している。
IIFは「真の国際化によっていっそうの資本勘定の自由化が求められるだろう中で、中国政府は、中国金融市場の開放へ向けて慎重に前進し続けている」「さらに人民元の変動幅を徐々に拡大し、より市場圧力を反映した為替相場を目指すことで、このプロセスは促進されるだろう」と報告をまとめている。(c)AFP/Paul HANDLEY