人への「敵対心」で脳卒中リスク2倍に、米研究
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【7月11日 AFP】他人に対して敵対心や意地の悪い感情を抱くと、後の人生で脳卒中リスクが倍増する可能性があるとした研究論文が、10日の米国心臓協会(American Heart Association)の学術誌「脳卒中(Stroke: Journal of the American Heart Association)」に発表された。論文によると、抑うつや高ストレスによっても、脳卒中リスクが増加することが明らかになったという。
米ミネソタ大学(University of Minnesota)などの研究チームは、45歳から84歳までの成人6700人以上を対象に、自身の精神状態と行動に関するアンケート調査を実施した。
2年以上にわたって行われたこの調査では、慢性ストレス、抑うつ症状、怒り、敵対心などを評価した。研究開始時点で、被験者の中に心臓疾患がある人はいなかった。
同じ被験者らに対しては、その後、8年~11年に及ぶ追跡調査を実施。この期間中に被験者147人が脳卒中を起こし、48人が脳への血流が一時的に妨げられる「一過性脳虚血発作(TIA)」を起こした。
他人の動機に対する「意地悪な思考」の程度を評価して判定される「敵対心」の点数が最も高いグループは、点数が最も低いグループに比べて、脳卒中やTIAを起こす確率が2倍以上高かった。
同様に、抑うつ症状の点数が高いと、脳卒中やTIAのリスクが86%高くなり、慢性ストレスがある場合はリスクが59%高かった。
意外な結果と思われるかもしれないが、怒りの感情は脳卒中を増加させるリスクとの関連性は存在しなかった。
研究では、年齢、人種、性別、健康的な行動や他の既知の脳卒中リスク因子を考慮に入れた後でも、心理状態と脳卒中との関連性が失われることはなかった。
論文の主執筆者で、ミネソタ大のスーザン・エバーソン・ローズ(Susan Everson-Rose)准教授(医学)は、「コレステロール値、血圧、喫煙などの従来のリスク因子への注目度があまりにも高く、確かにこれらは全て非常に重要だが、今回のような研究により、心理的特徴も同等に重要であることが明らかになっている」と語り、「人口が高齢化していることを考えると、疾病リスクに関与する可能性のあるこれらのその他因子を考慮することが重要になる」と指摘した。(c)AFP