【7月11日 AFP】国連(UN)は10日、シリア問題の仲介役を務める特使にイタリアとスウェーデンの国籍を持つ外交官、スタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)氏(67)を任命した。デミストゥラ氏は、長引くシリア内戦に政治的解決を見出すという困難な使命を担うことになる。

 厚い人望を集めていた前任者のラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)氏は、2度の和平協議決裂を受けて5月に辞任していた。シリアでの内戦は4年目に突入し、死者数は16万2000人を超えている。

 潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長はデミストゥラ氏のシリア特使任命を確認し、対立がみられる安全保障理事会(UN Security Council)とシリアの当事者らに、同氏との連携を呼び掛けた。

 潘事務総長はこれまで、安保理内でシリアと強い同盟関係にあるロシアとその他の国々が反目し合い、シリア危機に対する国際社会の対応をまひさせている、との批判を頻繁に受けてきている。

 3代目のシリア特使に選ばれたデミストゥラ氏が和平協議に新風を吹き込むことができるのかと問われた潘氏は、困難な任務になることは認めた上で、デミストゥラ氏が「自らの専門知識と経験を非常に難しいシリアの和平交渉に生かしてくれるはずだ。よって特使としての責務を果たすことができると信じている」と期待を示した。

 スウェーデン生まれでイタリア副外相を務めたこともあるデミストゥラ氏は、これまで30年以上にわたって国連に勤務し、特に紛争地帯における経験が豊富。2007~09年にはイラク、2010~11年にはアフガニスタン担当の国連特使を歴任している。

 またソマリアやスーダン、バルカン半島へ赴任したこともある他、2009~10年には世界食糧計画(World Food ProgramWFP)事務局次長も務めた。英・仏・独語を含む6か国語を操り、アラビア語での日常会話も可能とされる。(c)AFP/Jennie MATTHEW