【7月10日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記の暗殺を題材にした米コメディー映画『ザ・インタビュー(原題、The Interview)』について、北朝鮮が米当局に公開の停止を求める書簡を、国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長宛てに提出したことが分かった。

 米国で10月14日に公開予定の同映画のストーリーは、北朝鮮の平壌(Pyongyang)で金第1書記とのインタビューを行うことになった主演のセス・ローゲン(Seth Rogen)さんとジェームズ・フランコ(James Franco)さん扮(ふん)する芸能テレビリポーター2人が、米中央情報局(CIA)から金氏の暗殺任務を課されるというもの。

 北朝鮮の慈成男(チャ・ソンナム、Ja Song-Nam)国連大使は、AFPが9日に確認した書簡の中で、映画の制作・公開を認めることは「最もあからさまなテロ支援であり、戦争行為だ」とし、「米当局は、映画の制作・配給の禁止に向けた早急で適切な措置を取るべきで、さもなければテロを支援・助長した責任を全面的に負うことになるだろう」と述べている。

 北朝鮮は書簡を公式文書として国連総会(UN General Assembly)と国連安全保障理事会(UN Security Council)の加盟国および理事国に配布するよう要請している。

 一方の映画に主演するローゲンさんはツイッター(Twitter)で、「出演映画を理由に僕を殺したくなるなんてことはたいてい、12ドルを払って映画を見た後にしか起きないんだけど」と、北朝鮮の脅しを茶化す投稿をしている。

 北朝鮮の指導者を扱った米映画はこれまでにも制作されている。2004年には人形を用いた『チームアメリカ・ワールドポリス(Team America: World Police)』で、金第1書記の父親の故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記が、言語障害のある孤独な独裁者として描かれている。(c)AFP