【7月9日 AFP】7日にこの世を去ったレアル・マドリード(Real Madrid)の伝説、アルフレッド・ディ・ステファノ(Alfredo Di Stefano)氏の死を悼む声が、スペイン中から寄せられている。

 世界最高のサッカー選手の一人と評されるディ・ステファノ氏は、フランシスコ・フランコ(Francisco Franco)政権下の暗黒の日々に、無数のファンをとりこにした。

 心臓発作のため88歳で死去した同氏の遺体が8日にレアル・マドリードの本拠地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)に移されると、スタジアムのそびえたつ外壁に沿って、無数の人々が列を作った。

 建物の中に入ると、人々はレアル・マドリードのチームフラッグがかけられたひつぎの前で、こうべを垂れて十字を切った。そのそばには、ディ・ステファノ氏が獲得に貢献してきた無数の銀のトロフィーが並べられていた。

「金髪の矢」の異名で知られるディ・ステファノは、タイトルを総なめにした1950年代から60年代のレアル・マドリードにおける英雄だった。

 この日訪れた中には、レアル・マドリードで現在主将を務めるイケル・カシージャス(Iker Casillas)の姿もあった。カシージャスは、白い花で作られた巨大な花飾りの前に、黒い喪服をまとって座る遺族と抱擁を交わした。

 カシージャスは、ディ・ステファノ氏がクラブにもたらした影響をたたえた。

 クラブの公式ウェブサイトでカシージャスは、「彼の世代の選手たちが、ああした勇気や飢え、闘争心を作り上げ、それが10年、また10年と受け継がれてきた」と語った。

 世界中のスポーツ選手はもちろん、スペインの政界と王室からも哀悼の言葉が送られ、メディアは同氏を「天才」、「伝説」、「完璧な選手」などと呼んだ。

 ファンも、レアル・マドリードを世界一の成功を収めたクラブへと変貌させたディ・ステファノ氏に思いを馳せている。

 レアル・マドリードのクラブエンブレムの入れ墨を腕に入れ、白のユニホームをまとって列に並んだ28歳のハビエル・ロペス(Javier Lopez)さんは、「胸がはりさけそうだ。最高の選手だった」と話した。

「ディ・ステファノという男がいなかったら、レアルは何ものにもなれなかった。彼は守り、チームを操り、得点を決めた」

 クラブのフロレンティノ・ペレス(Florentino Perez)会長は、7日遅くに行われた記者会見で、「彼は逝ってしまったが、伝説は永遠に生きる」と語った。(c)AFP/Roland LLOYD PARRY