【7月9日 AFP】亡命希望者を収容するオーストラリアの施設で今週、約10人の母親が、自分の子どもが定住できるようにと自殺を図ったとみられることが分かった。

 豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)によると、女性たちは現在収容されている豪領クリスマス島(Christmas Island)から南太平洋にある島しょ国のパプアニューギニアかナウルへ移送されると告げられた後、自殺を試みた。同紙は亡命希望者の子ども72人の代理人を務める弁護士など3人の関係筋の話を引用している。

 2013年7月19日以降にオーストラリアに漂着したボート難民は、真正の難民かどうかにかかわらず、同国に定住することはできなくなっており、収容施設へ移送されるか、太平洋の島しょ国へ再定住させられている。

 オーストラリア政府は、公海上で拘束されたスリランカ人153人の処遇についての高裁の判断を控え、論争の渦中にある移民政策をめぐり強まる圧力に直面している。現在、税関局の船舶に拘束されているスリランカ人一行について、弁護団は本国への送還は違法だと主張。審査が行われた方法が懸念もされている。

 今回の報道はそんな豪政府にとって痛手となりそうだが、トニー・アボット(Tony Abbott)首相は9日、「(報道が)事実であれば恐ろしいことだ」としつつも、道徳心を盾にした脅しには応じないとし、動じない構えを示した。(c)AFP