【7月9日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は8日、中米諸国から家族の同伴なしで不法入国する児童が急増している問題に対処するため、37億ドル(約3760億円)の緊急追加予算を議会に要求した。

 要求はオバマ氏が先月末に表明していた金額を大幅に上回った。オバマ氏はこの緊急予算により、中米のエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスから数万人規模の児童がメキシコを縦断する危険な旅を経て米南部に不法入国している「喫緊の人道的状況」を緩和するだろうとしている。

 オバマ政権は、児童流入を止めるため、航空機からの監視などによる国境警備の強化、不法入国者の収容環境の改善、強制送還手続きの迅速化を目指している。

 当局者らの説明によると、追加予算は幾つかの米連邦機関に割り当てられ、移民担当判事や収容施設職員、国境警備隊の増員や、裁判所の処理能力の増強、収容施設の増設などに使われる。

 米議会は野党・共和党が下院で多数を占める「ねじれ」状態となっており、オバマ氏の要求の先行きは不透明だが、ホワイトハウス(White House)高官らは「超党派の精神」で承認されるとの楽観的な見方を示している。

 ただ、今年11月の中間選挙を前に共和党議員が大規模な追加予算を嫌っていることが承認の障害になる可能性がある。下院司法委員会(House Judiciary Committee)のボブ・グッドラット(Bob Goodlatte)委員長(共和党)は、オバマ氏の要求は「(不法入国者の)急増の阻止よりも、中米から来た人々の取り扱いに重点が置かれている」ようだとの懸念を表明している。

 移民問題はこのところ米国で大きな問題に発展している。収容施設があるカリフォルニア(California)州の小さな町では先週、不法入国した女性や子どもを乗せたバス3台がデモ隊によって制止される出来事が起きた。(c)AFP/Michael Mathes