【7月3日 AFP】米女優スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)さんがフランス人作家を相手取り、作中で自分に酷似した人物を「セックスオブジェクト(性の対象物)」として描いたと訴えて損害賠償を求めていた裁判で、仏パリ(Paris)の裁判所は2日、ヨハンソンさんの主張を認める判決を下した。

 裁判所は、小説「La premiere chose qu'on regarde(私たちが最初に見るもの)」の中でヨハンソンさんによく似た若手女優を「中傷的かつ屈辱的に」描写したとして、著者のグレゴワール・ドラクール(Gregoire Delacourt)氏に慰謝料2500ユーロ(約35万円)を支払うよう命じた。

 問題の小説は2013年に出版され10万部を売り上げており、ヨハンソンさんはドラクール氏が販売促進のためヨハンソンさんのイメージを利用したとして、5万ユーロ(約700万円)の賠償金を請求していた。

 作品は前半、ある自動車修理工の目を通して語られるが、この修理工はカナダ人俳優ライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)さんを「もっと格好よくしたような人物」と描写され、自宅玄関先に表れたヒロインをヨハンソンさんと勘違いする場面がある。ヒロインの外見は、男たちがセックスの対象としてしか見ない女性であることを示すもので、作中では複数の男たちと情事を重ねていく。

 バンサン・トレダノ(Vincent Toledano)判事はこうした描写について「実際には起きなかったことだ」と強調し「ヨハンソンさんは、実際には関与したことのない2人の人物と関係があったように描かれたことで中傷され、品位を傷つけられた」と判断した。

 ヨハンソンさんは小説の翻訳版の出版や映画化の差し止めも要求していたが、この訴えは退けられた。原告側代理人は今回の判決について「非常に嬉しい」と述べている。

 一方、被告側弁護団は賠償金が「わずかな額」に抑えられたと主張した。被告側代理人のアンヌ・ベイユ(Anne Veil)弁護士は、5月にヨハンソンさんが訴訟を起こした際「これほど大きな騒ぎになると分かっていたら、ドラクール氏は誰か別の人物を(登場人物に)選んだだろう」と語っている。(c)AFP