【7月3日 AFP】中国の最高人民法院(最高裁)は3日、環境問題に関連した訴訟を審理するための特別法廷を設置したと発表した。中国政府は、環境汚染の悪化による国民の不満の高まりを受け、環境対策に力を入れている。

 30年間に及ぶ急速で自由な工業化により中国の環境は大きな痛手を負った。中国共産党指導部はこの問題をめぐる抗議の声が高まっていることに懸念を抱いている。

 最近の調査によると、中国の土壌汚染は国土の約3分の2に広がっており、地下水の60%が直接飲用できないレベルに汚染されていた。また北京(Beijing)や上海(Shanghai)などの都市部では日常的に有害なレベルのスモッグが発生している。李克強(Li Keqiang)首相が3月に環境汚染への「宣戦布告」をして以降、中国当局は数々の施策を打ち出しているが、それらが実際に実行できるかどうかは依然、疑問が持たれている。

 最高人民法院の広報担当者によると新たに設置された特別法廷は、大気汚染、水質汚染、土壌汚染に関連する訴訟の他、鉱物資源や森林河川などの自然資源に関連する訴訟も取り扱う。各地の裁判所にも同様の特別法廷が設置されるという。

「受理、審理、決定の実行には確かに多少問題があった」と、最高人民法院に設置された特別法廷裁判長、鄭学林(Zheng Xuelin)氏は記者団に語った。「裁判所はいくつかの審理に積極的だったが、妨害が入り消極的になったり諦めたりせざるを得なかった」

 中国の年間平均訴訟件数1100万件のうち、2011~13年に裁判所に受理された環境訴訟は年3万件未満だったと、鄭裁判長は述べた。(c)AFP