パレスチナ少年殺害で暴動、各国が冷静呼び掛け
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【7月3日 AFP】中東のエルサレム(Jerusalem)で2日、イスラエル人の少年3人殺害への報復とみられるパレスチナ人少年殺害事件が起きたことに抗議する数百人のパレスチナ人たちが暴徒化した。各国からは、冷静な対応を呼び掛ける声が上がっている。
目撃者らがAFPに語ったところによると、殺害されたパレスチナ人少年、ムハンマド・アブ・クデール(Mohammed Abu Khder)さん(16)は2日未明、イスラエルが実効支配する東エルサレム(East Jerusalem)でイスラエル人ら3人に車に押し込まれた。
警察当局は、西エルサレム(West Jerusalem)のギバ・シャウル(Givat Shaul)の森で遺体が見つかったことを認めているものの、クデールさん失踪との関連性については言及を避けている。だが父親は、DNA鑑定の結果、遺体がクデールさんのものであることが確認されたと話している。
事件当日の夜明けから間もなく、怒りにかられたパレスチナ人たちはシュアファット(Shuafat)にあるクデールさんの自宅周辺に集結。その後、数時間のうちに暴動に発展し、混乱はほぼ終日にわたって続いた。
顔を覆い隠した数百人のパレスチナ人たちは出動したイスラエルの機動隊に向かって投石し、機動隊はゴム弾や催涙ガスなどで応戦した。
赤新月社(Red Crescent)によると、少なくとも65人が負傷し、うち3人は実弾に当たったという。また、ジャーナリスト6人を含む35人以上がゴム弾を受けて負傷した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、パレスチナ少年の殺害を「卑劣だ」と非難。自国民とパレスチナ人の双方に対し、私的制裁を行わないよう呼び掛けている。
先月殺害されたイスラエルの3少年のうちの1人の家族もまた、報復のための殺人はどのようなものであれ「残虐な行為だ」と話している。
一方のパレスチナ側は、暴動の責任はイスラエルにあると主張。ネタニヤフ政権に対し、報復攻撃の防止に向けて措置を講じるよう求めている。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は、イスラエルがパレスチナとの和平を望むならば、今回の事件の犯人らの処罰を求めると発言した。
また米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は、報復のための行動は一触即発の状況を一層悪化させるだけだと警告した。(c)AFP/Majeda EL-BATSH