【7月2日 AFP】米IBMと同国の人気料理雑誌「ボナペティ(Bon Appetit)」は、人工知能を搭載したIBMの高性能コンピューター「ワトソン(Watson)」をキッチンで活用して、新たな料理法を生み出す構想を6月30日に発表した。

 現在、試験段階にあるアプリ「シェフ・ワトソンとボナペティ(Chef Watson with Bon Appetit)」は、料理をする人たちに「ワトソンの持つ高度の認識能力を利用して、これまで思い付かなかった全く新しいレシピや美食の組み合わせを生み出してもらおう」というもの。

 IBMが開発したワトソンは自ら学び、考えるコンピューター。米国のクイズ番組「ジョパディ!(Jeopardy !)」で人間のチャンピオンを負かして有名になった。その後、がん治療など医療分野でも活躍しているが、今度はキッチンがその性能を試す場となる。

 IBMワトソングループ(IBM Watson Group)のマイク・ローディン(Mike Rhodin)上級副社長は「コグニティブ・コンピューティング(認識するコンピューティング)・システムは、これまでよりもずっと直感的に、膨大な量のデータや公式を把握でき、人間や情報とのやり取りから学習することができる」と説明する。

 ボナペティは「シェフ・ワトソン」を利用して試した料理のレシピをいくつか紹介した。キャベツとタマリンドのコールスローサラダ(フライドオニオン入り)、フェンネル風味のスペアリブ(アップル・マスタードソース添え)、焼きトウモロコシとネクタリンのサラダ(チリパウダー、コリアンダー、バジル、クミン風味)。デザートは、ベリーコブラ―(ベリーの焼き菓子)にレモンの皮、サワークリーム、バターミルク、マジョラムを添えて。ボナぺティによると、このデザートは試食した人の間で人気だったメニューの一つだという。

 ボナペティの編集長、アダム・ラポポート(Adam Rapoport)氏は「ワトソンがどんなものを発見し、料理人の創造力を引き出してくれるのか楽しみだ」と話した。(c)AFP/