【7月2日 AFP】中国国営メディアは2日、日本政府が憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を決定したことについて、アジアの安全保障に対する脅威だとして、一斉に激しい非難を開始した。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相はこれに先立つ1日、非常に限定された状況下を除き武力行使を禁じている憲法第9条の解釈を変更することを、正式に閣議決定したと発表。これにより、日本が持つ強力な軍事力への束縛が事実上、緩められることになった。

 中国を一党支配する共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)は2日、「日本政府は戦後体制を打ち破りたがっている」との論評を、「中国の声」を表す言葉の同音異義語にあたる「鐘声(Zhong Sheng)」の筆者名の社説で展開。安倍政権の動きは「危険信号であり警鐘だ」と批判した。

 また国営新華社(Xinhua)通信は1日夜、日本政府に対し「中国は貴国の軍事的課題か」と詰問。さらに「日本は、この100年の間で中国、ロシア、米国との戦争を始めた際に行ったように、だまし討ちをする歴史がある」と非難し、「これで今、武力行使についてより自由になった日本は、世界をいっそう不安にさせている」と論じた。

 東シナ海(East China Sea)の島しょ群をめぐり長年日本と対立している中国政府はかねて、第2次世界大戦中の行為に関する悔悟が足りないと日本を批判しており、今回の憲法解釈変更は再軍備への道を開き得ると主張している。

 国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は、「歴史を書き換え、第2次大戦中の自分たちの国の醜い記録を書き換えようとする安倍首相はじめ日本の政治家たちの厄介な試みは、日本は普通の国として扱われるに値しないということを思い起こさせる」と批判。

 また環球時報(Global Times)は2日、安倍首相が頭に日の丸の鉢巻をしめ、米アクション映画『ランボー(Rambo)』の主人公に扮(ふん)して大きな機関銃を抱える風刺画を掲載し、「日米どちらの政府も、さらなるアジアの混乱を見たがっている。米国は中国の台頭を妨げたいと思い、日本は政治的・軍事的両面で上昇する機会をうかがっている」「中国は日本の右翼の悪意を暴かなければならない」と記した。(c)AFP