【7月1日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)決勝トーナメント1回戦のメキシコ戦から一夜明け、オランダ国内はアリエン・ロッベン(Arjen Robben)が獲得したPKの判定を「当然」とみるか「大げさ」と見るかで意見が分かれているが、オランダの「奇跡的」な勝利については称賛する論調でまとまっている。

 メキシコ戦の試合終了間際に、ロッベンはペナルティーエリア内でメキシコのラファエル・マルケス(Rafael Marquez)と接触し転倒していた。

 ペドロ・プロエンサ(Pedro Proenca)主審がこのプレーをファウルと判断すると、クラース・ヤン・フンテラール(Klaas-Jan Huntelaar)がPKを決めてオランダが2-1で勝利を収めた。

 ロッベンは前半にPKを獲得しようとしてダイブしたことを認めているが、勝敗を決したPKの判定については正当なものだったと主張している。

 大衆紙テレグラフ(De Telegraaf)は、「前半のマルケスとの接触、続くエクトル・モレーノ(Hector Moreno)との交錯で、ロッベンにはすでにPKが与えられるべきだった」と伝えた。

「最終的に後半ロスタイムにロッベンはプロエンサ主審からごく当たり前のPKを与えられ、フンテラールがオランダを準々決勝に導いた。オランダはサッカーをし続けていたが、メキシコは1-0のリードを守っていただけにすぎないので、十分勝利に値する内容だった」

 中道左派のタブロイド紙フォルクスクラント(De Volkskrant)は、メキシコ戦の勝利を「チームのファイティングスピリットによってもたらされた奇跡的な敗戦からの脱出」と表現している。

 PKの判定について同紙は、「ロッベンはふらつく相手に対しノックアウトの一撃を狙うボクサーだ。最後はロッベンがマルケスの足につまずいていくらか大げさに転倒し、待望のPKを獲得した」とし、PKを沈めたフンテラールに対しては、オランダ代表の「ワンマン・ヘルプデスク(問い合わせ対応部門)」と賛辞を送った。

 タブロイド紙NRCネクスト(NRC Next)は、1963年に公開された映画にちなんでメキシコ戦の勝利を「大脱走(The Great Escape)」と報じ、ロッベンのダイブについては、「いささか芝居じみていたが、それまでの彼に対する判断ミスを考慮すれば、主審がPKの判定を下しても十分納得がいくものだった」としている。

 タブロイド紙アルヘメン・ダフブラット(Algemeen Dagblad)は、「6分間で地獄から天国へ」と伝え、「『キング・クラース』は、恐ろしいほどプレッシャーがかかる場面でも冷静沈着なままだった」とPKを決めたフンテラールを称賛した。

 一方、フォルクスクラントはルイス・ファン・ハール(Louis van Gaal)監督を、「あまり強いとはいえないメキシコを相手に守備的な戦術にしがみついた。その戦術は時として専門家の目を侮辱しているようにみえる」と批判している。

 オランダ人評論家のヤン・ムルダー(Jan Mulder)氏は、ベルギーのスポーツ専門チャンネルSporzaに対し、「この手の試合にはとてもいら立ちを覚える」とコメントした。

 ムルダー氏は、「今日はうまくいきましたが、オランダはこの(守備的な)システムで本当にW杯で優勝できますか?」と問いかけると、「今になってみれば、スペイン戦はうまくいきすぎたのかもしれない」と述べ、5-1で勝利したグループリーグ初戦での大勝が結果的にマイナスに作用する可能性を示唆している。(c)AFP