【6月30日 AFP】南極(Antarctica)に生息するコウテイペンギンの個体数が、地球温暖化によって2100年までに減少する可能性があるとする研究論文が、29日の英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。科学者らは、コウテイペンギンを絶滅危惧種に指定することや、生息地のいっそうの保護を呼びかけている。

 今回の調査では、コウテイペンギンの繁殖や子育てに海氷が欠かせないことが浮き彫りとなった。餌となる魚やオキアミも海氷によって守られているという。

 個体数の予測推移によると、気候変動による海氷の減少により、確認されているコロニー(集団営巣地)すべてにおいて、2100年までに減少が起きるという。

 論文は、「今世紀末までに少なくとも(コロニーの)3分の2で、現在と比べて50%強の減少が予想される」としており、またコロニーによってその影響は異なるものの、2048年までに10%の増加を示した後、全体の個体数は最低でも19%減少すると予想されるとした。

 研究チームは、コロニーへの影響は、ウェッデル海(Wedell Sea)東部とインド洋(Indian Ocean)西部の間で最も減少幅が大きく、ロス海(Ross Sea)では影響が最も少ないとしている。

 論文はまた、「コウテイペンギンのコロニーの少なくとも75%が将来の海氷減少によってなんらかの影響を受け、また同20%が2100年までに絶滅に近い状態になる可能性が示された」としている。(c)AFP