欧州人権裁、代理母出産の子を認めなかった仏当局に賠償命令
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【6月27日 AFP】フランスで、米国での代理母出産で生まれた子どもを当局に正式な子と認めることを拒否された2夫妻が、欧州人権裁判所(European Court of Human Rights、ECHR)に訴えを起こしていた裁判で、同裁判所は26日、仏当局を非難し、両夫妻の子計3人に賠償金の支払いを命じた。
代理出産で生まれた子は、法律上の子と認められれば国籍と完全な相続権を取得することができるが、仏当局は先にこれを拒否していた。ECHRはこの仏当局の行為は欧州人権条約(European Convention on Human Rights)に違反するという判断を下した。
ドミニク・ムネソン(Dominique Mennesson)さんとその妻シルビー(Sylvie Mennesson)さん、そしてフランシス・ラバセさん(Francis Labassee)とその妻モニーク(Monique Labassee)さんの両夫妻は、仏裁判所が子どもたちをわが子と認めてくれなかったとして、2011年にECHRへ訴えを起こしていた。両夫妻共に、米国での代理母出産で子どもをもうけている。
両夫妻の子らは、米国では法律上の子と認知されて米国籍を取得できたが、フランスではいかなる形の代理母出産も違法とされている。
ECHRは仏当局が、「代理母出産の疑いがあるとして、出生・死亡・結婚登記所での出生証明書の入力を拒否した」として、「私生活を尊重する権利は、親になることを含めて誰もが自己のアイデンティティーの本質を確立できるべきだということを含意しているが、この権利が大きく侵害された」とみなすと同時に、「子どもたちの私生活を尊重する権利」も侵されたと指摘した。
ECHRは仏当局に対し、ムネソンさん夫妻の双子とラバセさん夫妻の子供に損害賠償として1人につきそれぞれ5000ユーロ(約70万円)、また訴訟費用としてムネソンさん夫妻に1万5000ユーロ(約210万円)、ラバセ夫妻に4000ユーロ(約55万円)を支払うよう命じた。(c)AFP