【6月27日 AFP】カレーの香辛料を調合した薬で血圧を下げるラット実験に成功したとの研究論文が、英医学誌「エクスペリメンタル・バイオロジー・アンド・メディシン(Experimental Biology and Medicine)」6月号に掲載された。慢性疾患の高血圧症の治療に向けた、天然由来の安価な薬剤の開発に期待が高まる結果となった。

 研究を率いたインドのスリ・ラマチャンドラ大学(Sri Ramachandra University)心臓病学部長のS.タニカチャラン(S. Thanikachalam)氏の研究チームは、インド料理によく用いられる材料のショウガ、カルダモン、クミン、コショウ、白ハスの花弁などを混ぜ合わせたものをラットに与える実験を行った。

 同氏はAFPの取材に「高血圧症を誘発したラットで、実験期間内に顕著な変化がみられた」と述べ、「この薬は、ラットの血圧を下げ、酸化的ストレスを低下させるのに非常に効果的だった」と続けた。

 論文によると、研究チームはこれらのスパイスを使い、腎臓内の動脈が狭くなることが原因で発症する続発性高血圧症の「腎血管性高血圧症」の症状を軽減することに成功した。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によると、都市部のインド人では、高血圧症患者の4人に1人が、高血圧症の遺伝的な素因を持っているという。

 高血圧症は現代薬で治療される場合が大半だが、現代薬は高額である上に副作用の可能性があるため、日々の服用をためらう人も多い。

 タニカチャラン氏によると、同氏の研究チームが試験を行っているこの香辛料を調合した薬は、古代インド文学の中で言及されている調合薬の1つだという。「これは世代から世代へと受け継がれてきたもの。ただ有効性が科学的に立証されたことが今までになかっただけだ」

 研究チームは、動物実験の規模を拡大して、この生薬が慢性的な症状に対して有効かどうかを確かめてから、臨床試験に進みたい考えだ。臨床試験は、新薬の市場への投入認可の前に行うことが義務付けられている。

 タニカチャラン氏は「ラットを長期的に観察して、効果の持続について確かめる。有効で安価な薬剤の開発がわれわれの目標だ」と述べている。(c)AFP