【6月25日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は24日、連邦会議(上院)に対し、ウクライナへの軍事介入を認めた決議を撤回するよう要請した。これはロシアの大きな方針転換といえ、ウクライナ側も危機緩和に向けた「実質的な最初の一歩」と歓迎している。

 予測されていなかったプーチン大統領のこの提案は、欧米諸国が対ロシア制裁を強化する恐れが取り沙汰されていたさなかに発表された。ウクライナの親ロシア派も23日、政府側との一時停戦に合意しており、この方針転換がウクライナ東部での戦闘終結を目指す和平計画に弾みをつける可能性もある。

 ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官によると、ウクライナにロシア軍を派遣する権限をプーチン大統領に与えた3月1日の決議を取り消すという決定は、4月以降370人以上が死亡した同域での「ウクライナ問題をめぐる雰囲気を正常化させ、事態の打開を図る」ことを目指したものだという。

 これを受けて、欧米からの支持を得ているペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)ウクライナ大統領は、「(ウクライナ東部の)ドンバス(Donbass)地方での政府の和平計画を公式に支持する決定に引き続き、ロシア大統領が取った実質的な最初の一歩」と位置付け、ロシア側の動きに対して異例の歓迎姿勢を示した。

 ロシア上院による派兵承認に基づき、これまでウクライナとの国境付近には多数のロシア軍部隊が派遣され、軍事介入の恐れが指摘されていた。事実上、ロシア政府の方針を追認するだけのロシア上院はこの承認を、25日に取り消すとみられている。(c)AFP/Max DELANY with Dmitry ZAKS in Kiev