【6月25日 AFP】オーストラリア政府が、伐採業者による開発を可能にするために同国にある世界遺産「タスマニア原生地域(Tasmanian Wilderness)」の一部の指定を取り消すよう求めていた件で、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産委員会は23日、この要請を拒否した。

 オーストラリアの保守連合政権は、ユネスコに対しタスマニア原生地域の一部、7万4000ヘクタール相当の指定地域は原生林の状態ではないとして、世界遺産指定の取り消しを申請していた。


 世界的にも希少な温帯雨林の一つであるタスマニア原生地域は、タスマニア島の面積の20%近くにあたる140万ヘクタールに及ぶ。

 トニー・アボット(Tony Abbott)豪首相は、世界遺産指定によって開発できない部分が多すぎると主張し、伐採業者による開発をもっと促進したい意向だ。

 今回、世界遺産指定からの削除が要請された区域は環境保護活動家らの長年の運動の結果、労働党(Labor Party)率いる前政権が昨年、タスマニア原生地域に追加した12万ヘクタールのうちの一部に当たる。タスマニア州の州都ホバート(Hobart)にある州議会議事堂の前では14日、指定取り消しの動きに抗議して最大5000人が集まった。(c)AFP