【6月23日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王(77)は21日、犯罪組織「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」が拠点とするイタリア南部カラブリア(Calabria)州を訪問し、マフィアのメンバーは全員「破門する」と宣言して組織犯罪を厳しく批判した。

 フランシスコ法王は信者らを前に、マフィアは「悪魔を崇拝し、公益をさげすむ者たちだ。このような悪は叩きのめし、追放せねばならない」と糾弾。「マフィアのように悪の道を歩む者たちは、神に属すことはない。彼らは破門される」と述べた。

 破門された人間は、カトリック教会から追放され、悔い改めない限り、死後に地獄で責め苦にあうと考えられている。

 カラブリア州では1月、3歳の男児がマフィアの報復に巻き込まれて殺害される事件が起きている。この男児「ココ("Coco" Campolongo)」ちゃんは、祖父が麻薬の代金を支払えなかったことを理由に、祖父とそのパートナーのモロッコ人女性と共にヌドランゲタに頭部を撃たれて殺害された。ココちゃんの遺体は焼け焦げた車の中から縛られた状態で見つかり、イタリア全土に衝撃を与えた。

 その2か月後には近郊のプーリア(Puglia)州でも、やはり3歳児が殺害される事件が起きている。

 バチカン広報当局によると、フランシスコ法王はココちゃんの父親と祖母に会い、慰めの言葉をかけるとともに「このような形で子供が犠牲になることが二度とあってはならない」と語ったという。

 法王のカラブリア州訪問をめぐっては、ヌドランゲタを挑発するのではないかとの危惧があった。フランシスコ法王はマフィアと決別するよう熱心に呼び掛けており、法王を標的にするとの警告も受けている。

 カラブリア州はイタリアで2番目に貧しい地域とされる。法王の訪問には、子どもたちがマフィアの犠牲となっている問題に加え、貧しい若者たちが経済力のあるヌドランゲタに取り込まれがちな現状に注目を集める目的もあった。同州では25歳未満の失業率が56.1%にもなり、イタリア全土で最も高い。職のない若者たちは地元の犯罪組織が提供する仕事を引き受けて組織に取り込まれ、組織犯罪が活発化する構造がある。(c)AFP/Vincenzo PINTO with Ella IDE in Rome