【6月22日 AFP】ウクライナの東部地域では21日、ペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領が親露派武装勢力との停戦を一方的に宣言した後も戦闘が継続した。一方でロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は同日、欧米の支援を受ける新大統領の主張に懐疑的な態度を示しつつも、和平計画を支持するとの声明を発表している。

 ウクライナの国境警備隊によると、親露派の武装勢力はポロシェンコ大統領の停戦宣言から約4時間後、東部ドネツク(Donetsk)州の軍基地を攻撃。狙撃兵による攻撃の他、グレネードランチャーも用いられたとした。数分後には、同じ武装勢力とみられるグループがロシア国境の検問所近くの別の場所を攻撃し、政府軍も応戦を余儀なくされたという。双方による一連の衝突では、これまでに375人以上が死亡している。

 ウクライナの「対テロ作戦」を担う当局報道官はスラビャンスク(Slavyansk)周辺での戦闘が続いていることを認めており、また国防省も「迷彩服を着た50人以上」から、対空防衛施設が攻撃を受けたことを明らかにした。国境警備隊の隊員9人が負傷したとの一部情報もある。

 ポロシェンコ大統領は20日夜、新露派との和平計画の一環として、軍に一週間の停戦を命じた。この計画では、新露派が多い工業の盛んな東部地域の自治権拡大を認める案が示されているが、その一方で、親露派からの攻撃には「同じ規模の兵力で応戦する」とも警告している。

 ポロシェンコ大統領の和平計画をめぐり、プーチン露大統領は21日に声明を発表。停戦宣言を支持するとしつつも、「交渉プロセスの開始を目指さない和平案はどのようなものであれ、実行不可能であり、非現実的だ」と述べた。また「双方は全ての軍事活動を停止し、交渉のテーブルに着くべきだ」と続け、戦闘を継続している武装勢力への批判もほのめかしている。(c)AFP/Nicolas MILETITCH and Dmitry ZAKS in Kiev