【6月20日 AFP】マレーシア当局は19日、同国沖で18日に相次いで起きた2件の船の事故で、合わせて14人が死亡、27人が行方不明になっていると発表した。違法にマレーシアに入国し、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」に合わせて帰国しようとしていた多数のインドネシア人出稼ぎ労働者が乗っていたとみられる。

 マレーシアのポートクラン(Port Klang)沖で18日未明、インドネシア人97人を乗せてインドネシアのスマトラ(Sumatra)島に向かっていた船が沈没した。

 マレーシア海上法執行庁(Malaysian Maritime Enforcement AgencyMMEA)の19日夜の発表によると、この事故でこれまでに14人の遺体が収容され、20人が依然行方不明になっている。しかし一部の当局者は、乗船者の中には自力で陸までたどり着き、身柄拘束を恐れて逃げた人もいるとみている。

 この事故の捜索範囲を拡大したところ、マレーシア西部、首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)の南にあるセパン(Sepang)付近でも、スマトラ島に向けて航行していたとみられる船が沈没して7人が行方不明になっていることが分かった。当初は19日に沈没したと伝えられていたが、マレーシア海上法執行庁は、こちらの事故も18日に発生したことが生存者の話から分かったと明らかにした。強風にあおられて沈没したという。

 セパン付近の事故では19日に、付近を航行していた船と同庁のボート、ヘリコプターによって18人が救助された。同日中にさらに2人が海上で救出され、陸まで搬送されたという。

 当局は両方の事故について調査中としているが、どちらの船も定員を超える人が乗船していた上、事故当時の海は荒れていたことが分かっている。ポートクラン沖で沈没した船には定員の3倍以上の人が乗っていたとされる。

 比較的豊かなマレーシアには、インドネシアやバングラデシュ、ミャンマーといった近隣国から多くの出稼ぎ労働者が集まり、マレーシア人があまり働こうとはしない低賃金のプランテーション農園や建設現場、工場などで働いている。

 不法移民は推定約200万人に上り、その大半がインドネシア人とみられている。数千人が粗末な船でマレーシアと自国との間を行き来しており、しかも拘束されないよう夜間に航行する人が多いため、海難事故が多い。(c)AFP/M JEGATHESAN