【6月18日 AFP】数年前の一部報告で個体数の減少が指摘されていた、米カリフォルニア(California)州沖に生息するホホジロザメだが、実際はその個体数は増加している可能性が高く、絶滅の危機にひんしてはいないとの調査結果が16日、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された。

 海の捕食者、ホホジロザメにとって良い知らせとなる今回の調査結果は、太平洋北東部海域を回遊しているホホジロザメの個体数が、3年前に発表された調査が示した219匹ではなく、約2000匹であることを示唆している。

 国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)サメ専門家グループ(Shark Specialist Group)の共同創立者で、フロリダ・サメ研究プログラム(Florida Program for Shark Research)を率いるジョージ・バージス(George Burgess)氏は「海において最大で最強の集団に異常があるとすると、海自体に異常があることになるので、集団が良好な状態にあることが分かって安心した」と話す。

「他のサメ集団は必ずしもそれほど良好な状態ではないという事実を踏まえると、ホホジロザメが問題ないどころか、とても良好な状態にあることが分かったのは、本当に好ましいことだ」(バージス氏)

 以前の個体数計測は、米サンフランシスコ(San Francisco)西にあるファラロン諸島(Farallon Islands)と近くのトマレス岬(Tomales Point)の2か所で行われた調査に基づくものだった。これらはアザラシが集まる場所で、アザラシを捕食するホホジロザメもここに集まってくる。

 研究チームは、そこに集まるすべての世代のホホジロザメを数に含めることで、個体数は200ではなく、2000前後である可能性が高いことを明らかにした。

 また、サメは個体数を数えるのが難しく、これら2か所における集団の流動性も非常に高いため、研究チームはこれ以外にサメが集まる場所として知られている地点を含むように、調査範囲をメキシコからカナダ・ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州や米アラスカ(Alaska)州までに拡大した。

 米海洋漁業局(National Marine Fisheries Service)は、太平洋北東部のホホジロザメの生息数を約3000匹と推定しており、絶滅危惧種リストにホホジロザメを追加するよう求める嘆願書を退けている。(c)AFP