【6月17日 AFP】 1970年代に当時のリチャード・ニクソン(Richard Nixon)米大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート(Watergate)事件で、スクープ記事を書いた記者と匿名の情報提供者が秘密裏に会った地下駐車場が取り壊されることになった。

 ワシントン・ポスト紙(Washington Post)のボブ・ウッドワード(Bob Woodward)記者が情報提供者「ディープスロート(Deep Throat)」と密会した地下駐車場があるのは、米首都ワシントン(Washington D.C.)からポトマック川(Potomac River)を渡ったバージニア(Virginia)州アーリントン(Arlington)に1960年代にできたオフィス街の一角。歩道には、この場所の歴史的重要性を示す碑が建っている。

 しかしアーリントン郡委員会は14日、商業施設と高層住宅の複合開発に向けた解体計画を承認した。委員会は声明の中で、新しい開発事業には「ウォーターゲート事件におけるこの場所の重要性を記念する史跡を組み込む」と述べている。

 同僚のカール・バーンスタイン(Carl Bernstein)氏とともに取材を進めていたウッドワード氏はこの地下駐車場の「32D」という区画で6回にわたり夜、情報提供者「ディープスロート」と会った。

「ディープスロート」とは1970年代のポルノ映画にちなんで付けられた仮名で、その正体は2005年になって初めて、事件当時の連邦捜査局(FBI)副長官マーク・フェルト(William Mark Felt)氏だったことが明らかになった。フェルト氏は08年に死去している。

 ワシントン・ポスト紙の報道によると、地下駐車場のある建物の取り壊しは2017年1月以降の見込み。(c)AFP