南シナ海の貿易路、領有権問題の影響はなし 分析
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【6月17日 AFP】南シナ海(South China Sea)に面する中国とその周辺国との間で領有権問題をめぐる対立が深まる一方で、各国政府は自国の経済に必要不可欠な海上貿易路を遮断しない方がいいことを承知していると、アナリストらはみている。
中国とその周辺国との対立は激化しており、2014年に入ってからは、ベトナム船が中国船舶から放水を受けたり、ベトナムでの反中デモで死者が出たりする事態に発展。また、中国から「いじめ」を受けているとするフィリピンは、米国との間で、南シナ海に面するフィリピンの基地での米軍再駐留を認める軍事協定を結んだ。
各国間の対立が深まる中、船舶航行が多く、世界の原油タンカーの半分余りが経由する南シナ海の貿易路に影響は出るのかどうかとの疑問が出ている。
だがアナリストたちは、当事国、とりわけ中国は外交的、軍事的な駆け引きによって重要な経済の命綱が危機にさらされることがないよう、注意を払うとみている。
コンサルタント会社、ドリュリー・マリタイム・サービシズ(Drewry Maritime Services)のアナリスト、Jayendu Krishna氏は、「何らかの封鎖や混乱は、中国の利益にならないし、日本や韓国、台湾の利益にもならない」とした上で、「こうしたことは起こらない」との見方を示した。
フィリピンやベトナム、その他の近隣諸国は、領有権問題で最近の対立をあおり立てているのは中国だと明言。紛争は数十年にわたり続いているが、これまでおおむね、大きな衝突は回避してきた。
中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張。台湾も中国と同様の主張をし、一方のベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイは一部海域の領有権を主張している。