【6月17日 AFP】遺伝子組み換え(GM)技術によって開発された非常に高い栄養価を含むバナナが、まもなくヒトを対象とした初の試験にかけられることになったと、オーストラリアの研究グループが16日、発表した。このバナナによって将来、アフリカで数百万もの人々の栄養状態が改善されることが期待されている。

 このプロジェクトは、体内でビタミンAに変換されるα−カロテンとβ−カロテンを非常に多く含んだこの特殊なバナナを、2020年までにウガンダで栽培するというもの。

 現在、米国へと送られているこのバナナは、人体内のビタミンA量をどの程度増加させるのかを計測するために、6週間にわたる試験にかけられる予定となっており、今年末までに最終的な結果が出ることを目指しているという。

 豪クイーンズランド工科大学(Queensland University of TechnologyQUT)が実施するこのプロジェクトは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)の支援を受けて行われている。

 同大のジェームズ・デール(James Dale)教授は「ウガンダでのバナナのような主食作物のプロビタミンA(ビタミンAの前駆物質)含有量を増加させ、自給農業を営む貧しい人々に栄養価の高い食品を供給することによって、科学は現状を劇的に改善することが可能だ」と説明する。

 デール教授は、バナナは東アフリカ諸国においては主食の地位にあるものの、微量栄養素、特にプロビタミンAや鉄分の含有量が低いという欠点があると指摘し、「ビタミンA不足が及ぼす影響は深刻で、世界中で毎年65万~70万人の子どもたちが死亡し、30万人が失明している」と話した。(c)AFP