【6月14日 AFP】アルコールの乱用防止運動は、サッカーと酒類業界の提携によって骨抜きにされているとの論文が、11日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)に掲載された。

 論文の著者、フリーライターのジョナサン・ゴーナル(Jonathan Gornall)氏は、アルコールが今やサッカー文化に浸透していると述べ、「サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)で7月13日に優勝トロフィーを手にすると予想されているのは開催国ブラジルのチームかもしれないが、真の勝者はアルコール業界になるだろう」と警鐘を鳴らしている。W杯開催中は、数百万人の若者が酒類の広告を目にすることになるとみられる。

 同氏は、国際サッカー連盟(FIFA)が「以前から、世界各国の政府に対し行き過ぎた条件を押し付け、米ビールブランドのバドワイザー(Budweiser)をはじめスポンサー企業の売上増に貢献してきた」と指摘している。

 それにより、スポンサー企業がW杯開催中に得た収益については税の適用が免除されており、ブラジル政府は「圧力を受けて」スタジアムでの試合観戦中にビールを飲むことを許可したとしている。ブラジルでは、サポーターらによる暴力行為の予防策として、スタジアムでの飲酒を長く禁止してきたが、W杯ではこの禁止措置が一時的に解除される。

 さらに「同様にFIFAの圧力で、厳格なイスラム教国で強い飲酒制限があるカタールでも、2022年のW杯開催時にはファンゾーンでのアルコール販売をすでに許可している」という。

 同論文によると、フランスは1991年に、スポーツ関連での酒類企業による広告およびスポンサー契約を禁止した。アルコール業界からは国内でのスポーツイベントが台無しになると強く反発を受けたが、失敗どころか新たなスポンサーを得て大成功を収めているという。(c)AFP