イラク武装勢力、「イスラム国家建設」目指し進撃 専門家分析
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【6月14日 AFP】イスラム武装勢力「イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant、ISIL)」を中心としたイスラム過激派は、イラクの首都バグダッド(Baghdad)の北の広い地域を掌握し、既存の国境をまたがるイスラム国家の建国という目標の達成に近付いていると、専門家らは指摘している。
ISIL戦闘員が指揮するイスラム過激派の大規模な進撃はイラク政府に大きな打撃を与え、掌握された地域の奪還に苦慮しているイラク軍の弱さを露呈させた。今月10日、ニナワ(Nineveh)州の州都でイラク第2の都市でもあるモスル(Mosul)を掌握した武装勢力は、同州全体の他、近隣のサラハディン(Salaheddin)州とキルクーク(Kirkuk)州の一部地域も掌握した。
危機管理会社AKEグループ(AKE Group)の安全保障専門家、ジョン・ドレーク(John Drake)氏は「ニナワ州を奪われたことで、アンバル(Anbar)州、モスル、シリア国境をつなぐ戦闘地域の回廊が生まれ、武器の密輸や資金調達、異なる戦線への戦闘員の移動が容易になった」と語る。ニナワ州の南に位置するアンバル州では反政府武装勢力が1つの都市の全域と別の都市の一部を掌握している。シリア東部の広い地域もイスラム過激派が掌握している。
「ISILは領土を掌握した上でイスラム法を施行し、軍事訓練の実施や攻撃立案司令部の設置で戦闘の推進力を維持し続けることのできるイスラム首長国を建国することを目的にしてきた」とドレーク氏は述べる。「シリアの内戦が、これらの武装勢力にそういった領土を確保する機会を与えた。それ(領土掌握)に成功したことで彼らの支持者らは、目標が達成可能だとつけあがった可能性がある」