【6月12日 AFP】(一部更新、写真追加)欧州各地で11日、タクシー運転手たちがスマートフォン(多機能携帯電話)のアプリケーションを使った米国発の配車サービス「ウーバー(Uber)」に抗議する一斉ストライキを実施し、英ロンドン(London)や仏パリ(Paris)など大都市の交通が一時まひした。

 ロンドンでは、名物の黒塗りタクシー数千台がバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)やトラファルガー広場(Trafalgar Square)、国会議事堂の周辺の道路を封鎖すると、一斉にクラクションを鳴らして抗議した。パリでも、多数のタクシー運転手が首都玄関口の空港につながる道路に集結し、朝のラッシュ時に「徐行戦術」で交通を妨げた。

 このほか、スペインのマドリード(Madrid)やバルセロナ(Barcelona)、ドイツ・ベルリン(Berlin)、イタリアのローマ(Rome)やミラノ(Milan)でも、同様のデモが展開された。

 米カリフォルニア(California)州に拠点を置くウーバーは、携帯電話の位置情報技術を利用して最も近くにいるタクシーを探せるアプリ。配車の要請や支払いも携帯1つでできるため人気急上昇中で、現在、世界37か国の128都市でサービスを展開している。

 事前予約が必要なハイヤーとは異なり、利用料金は運営会社の配車オペレーターが算出するのではなく、運転手がアプリを使って自由に設定できる。

 この料金システムについて、反対派は既存のタクシー業界が採用しているメーター制の料金体系と同じであり、ウーバーも各国政府の厳格な事業規制の対象とされるべきだと主張している。

 ただ、皮肉なことに今回のタクシー運転手らによる抗議デモは、かえってウーバーへの注目を集めることになっている。ストの期間中、ウーバーは割引料金でサービスを提供している。(c)AFP/Alice RITCHIE