路上生活者追放オブジェに抗議広がる、英ロンドン
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【6月11日 AFP】英ロンドン中心部のサザーク(Southwark)にある住居ビルでホームレスの人々が路上に寝ることができないよう道路に設置された「とげ」に対し、4万人の抗議署名が集まっており、同市のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長もこの設置物について「ばかげている」と批判している。
マイクロブログのツイッターで怒りに火がついた後、オンライン署名収集サイト「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」が始めた抗議署名はこの「とげ」について「非人道的」だと表現し、社会で最も脆弱な人々に配慮すべきだと呼び掛けている。
英与党・保守党の一員であるジョンソン市長は以前にもこの設置物を非難し、即時撤去を求めていた。市長は9日、自分のツイッターのアカウントに「サザークの住居ビルにある野宿を止めさせるためのとげは、醜悪で自滅的でばかげている。開発業者は早急にこれを撤去すべきだ」と投稿した。市長は自らの市政によるこれまでのホームレス対策を擁護しつつ、市当局が「もっと努力すべきだ」と認めながらも「とげは解決方法にはならない」と述べている。
欧州一高いビル、ザ・シャード(The Shard)やウィリアム・シェイクスピアで知られるグローブ座(Globe Theatre)に近いこの住居ビル前の道路には、金属製の短いとげが埋め込まれている。建設業者は、ビルは09年に住民に売却しており、設置物に関する責任は会社側にはないと説明している。現在の管理会社プロパティー・パートナーズ(Property Partners)はAFPの取材に対し、コメントできないと述べている。
野宿者支援団体、聖マンゴ・ブロードウェー(St Mungo's Broadway)によると、ロンドンで今年1~3月の間に路上で寝ていたホームレスの人々は前年比8%増の2000人以上に上った。(c)AFP